「無料 エロ 動画」などで検索すると表示される動画サイトはそのほとんどが違法エロサイトです。
違法コンテンツを勝手に配信(動画共有リンクを含む)し、そのほとんどが無料サイトでアクセスによる広告収入によって成り立っています。
違法コンテンツによるサイトへの法的対策は、過去に「漫画村」が著作権を無視した形で、漫画をインターネット上に勝手に公開したため、運営者が「著作権法違反」の罪で逮捕されたことで強化されるようになりました。
しかし、現状違法サイトは一般、エロ問わず完全になくなったとはいえず、その多くがまだ存在している状況です。
「なぜ違法エロサイトはなくならないのか?」その理由と現在の法的対策とその限界について見ていきたいと思います。
違法エロサイトの種類と影響
違法エロサイトといっても様々な種類が存在し、それぞれが異なる形で違法にコンテンツを提供しています。
明確に違法(児童ポルノ、著作権違反など)のサイトもあれば、近年までグレーゾーン扱いだったものも存在します。
違法エロサイトの種類
その中でも違法エロサイトで広く横行しているのが、海賊版AVのストリーミングサイトとリーチサイトです。
ストリーミングサイトは、有料で販売されているエロ動画を無断でアップロードし、それをユーザーにリアルタイムで視聴できるよう違法に提供しているサイトです。
リーチサイトは、主に上記ストリーミングサイトなどのリンクをまとめたサイト、違法動画の共有タグによる配信(外部サーバーからの読み込みのため内部的にはリンクを貼っているだけの扱い)を行っているサイトです。
基本的にこれらのサイトはユーザーには無料でコンテンツを提供し、そこに掲載する広告収入(アフィリエイト)で収益を得ています。
違法エロサイトの影響
違法エロサイトの業界への影響は大きく、多くのAVクリエイターや正規販売者が得るべき収益が失われるだけでなく、それを宣伝(アフィリエイト)する真っ当なエロサイト運営者にも大きな影響が出ています。
ユーザーは無料でコンテンツを楽しめる反面、クリエイター、販売者、広告主に対して正当な対価が支払われないため、制作環境やモチベーションが低下し、既にAV業界全体が悪循環に陥る事態になっています。
違法エロサイトの存在は一般、エロ問わず、クリエイター産業全体に及んでおり、違法コンテンツの根絶が世界的にも重要な課題となっています。
違法エロサイトの基本的な仕組み
ここでは違法エロサイトの基本的な仕組みについてご説明します。
違法コンテンツの無断アップロード
まず違法エロサイトのメインとなるコンテンツは、無断でアップロードされたコンテンツ(有料AV・2次元画像など)の違法配信です。
これらは有料、無料に関わらず著作者に許可を得ないで勝手に配信されています。
エロサイトでは、違法コンテンツを大量にアップロードしてまとめたサイトが多く存在し、最近ではAVをAI技術(ディープフェイク)で改造して著名人の顔を無断で使用したものまであります。
一般サイトでは、ニュースにも大々的に取り上げられた「漫画村」を筆頭に漫画や映画、音楽、ゲームなど多岐に渡って著作権を侵害するコンテンツを提供しています。
違法サイトはユーザーに無料でコンテンツを提供する場合が多く、正規の方法で提供されるサービスは基本的に有料となるため、ユーザーとしては利便性が高く人気が高いです。
しかし、このような配信はクリエイターや正規のコンテンツ提供者に大きな損害を与えており、著作権法に違反しています。
広告による収益化
次に違法エロサイトがどうやって収益を得て、運営しているのかです。
違法エロサイトの多くは、コンテンツの提供自体は無料で行っていますが、アフィリエイト広告による収益を主な収入源として運営されています。
違法エロサイトは人気が高く、そのアクセス数を利用して、多くの人に広告を表示することで膨大な収益を得ています。
ドメインとサーバーの使い分けによる摘発逃れ
違法サイトは一般、エロサイトに関わらず違法であると判断されれば、プロバイダー経由でサイト閉鎖(サイトの表示を停止)させることが可能です。
しかし、違法サイトはサイトが閉鎖されても、ドメインやサーバーを変更して同じようなサイトを公開するために、いたちごっこの様相を呈しています。
なぜそのようになっているかというと、これらのサイトは海外のサーバーや海外の事業者が行っていることが多く、これにより国内法の適用を避けることができるため、その運営者を摘発することが困難になっているからです。
また、VPN(仮想プライベートネットワーク)を活用してアクセスを匿名化することも一般的であり、サイト運営者や利用者が特定されるリスクは低く、法的対策が難航しているのが現状です。
違法エロサイトが消えない理由
前述で少し触れましたが、違法エロサイトは厳しい取り締まりや法的対策があるにもかかわらず、完全に排除することができません。
その背景には、技術的な要因や経済的な利益、ユーザー心理など複数の要素が絡んでいます。
ここでは、違法エロサイトが存続し続ける理由を詳しく紹介します。
海外サーバーの利用と法の限界
違法エロサイトが消えない大きな理由の一つは、海外サーバーの利用です。
違法エロサイトの運営者は、日本の法律が適用されない国(中国、東欧、東南アジアなど)にサーバーを設置することで、国内法の適用を回避しています。
これにより、たとえ日本国内で違法とされるコンテンツがあっても、海外にサーバーが置かれているため、国内法の適用が難しくなっています。
たとえ海外にサーバーがあっても日本人が運営していると判明した場合は、国内法によって裁くことが可能ですが、これらのサイトはVPNを利用することでアクセス元を匿名化しており、運営者を特定するのも難しいことが多いです。
また、最近はサーバー・運営者ともに海外事業者であることも多く、日本の法律で根絶することがより困難になっています。
広告収益モデルによる継続運営
違法エロサイトが消えないもう一つの理由は、広告収益を通じたビジネスモデルです。
多くの違法サイトは、無料でコンテンツを提供しているものの、アフィリエイト広告の収入によって大きな収益を得ています。
アフィリエイト広告を発行しているのは主にASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)と呼ばれる広告代理店です。
広告代理店、実際の広告主(企業など)からすれば、どのようなサイトに広告が表示されていようが、より多くのアクセスが見込めるサイトが魅力的な広告媒体になります。
そのため、違法サイトは優秀な広告媒体として膨大な収益を得て横行する事態となりましたが、近年ではこの問題にメスを入れるため、日本政府で違法サイトへの広告掲載抑止の取り組みを広告事業者に対して行っています。
しかし、これも適用されるのが日本の広告事業者のみのため、広告ネットワークがグローバルに広がっている現在では、違法サイトへの広告出稿を厳密に規制することが難しい状況です。
ユーザーの需要
ユーザーの需要が高いことが違法エロサイトが消えない理由の一つとして挙げられます。
もちろん違法エロサイトも見るユーザーがいないければ運営が成り立ちません。
正規のサービスを利用するためには、サブスクリプション料金や購入費用が発生する一方で、違法エロサイトではこうしたコストが一切かからないため、多くのユーザーが違法サイトを選んでしまうのは当然ともいえます。
ユーザーが違法サイトを利用する際に、法律違反をしているサイトであるという認識が薄いことが大きな問題ですが、これは教育やモラルといった領域にも関わってくる問題であり、法律だけでは対処できない問題でもあります。
しかし、違法エロサイトが横行している理由の一つに、利用しているユーザー側にも原因があることを知っておきましょう。
アクセスの容易さ
違法エロサイトへのアクセスが容易なことも違法エロサイトが消えない理由として挙げられます。
これらのサイトは検索エンジンから簡単に見つけられる場合も多く、利用が手軽であることもここまで違法エロサイトが横行している理由の一つです。
これは検索エンジン側で対策(通報による表示制限など)を行ってはいますが、検索エンジン側からしても経済的メリットが薄いのでほとんど意味をなしていないのが現状です。
いくつか違法エロサイトが消えない理由を挙げましたが、違法サイトの根絶には解決すべき問題が多数あり、国内だけでは解決できず、根絶するには国際的な協力が不可欠です。
法的対策の現状と限界
違法エロサイトに対する法的対策は、日本国内ではさまざまな法律で禁止・摘発が行われています。
しかし、それでも違法サイトがなくならない背景には、国内法だけでの限界や技術的な課題が存在しています。
ここでは、法的対策の現状とその限界について詳しく解説します。
現在の法的対策
日本国内では、著作権法や刑法に関する法律に基づき、違法サイトの取り締まりが進められています。
違法エロサイトが違反している主な法律は以下の通りです。
各法律での適用例や実際の逮捕例を知りたい方は別ページにまとめていますのでそちらをご覧ください。
リーチサイトは日本国内では明確に違法
近年までは違法エロサイトへのリンク、共有タグによる動画配信はグレーゾーンとして見逃されていたことにより、海外違法エロサイトのリーチサイト(まとめサイト)が今より存在していました。
なぜグレーゾーンとされていたかというと、運営しているサイトのサーバー本体には違法コンテンツ自体がアップロードされているわけではなく、そのリンクを貼っているだけだからという扱いだったからです。
しかし、法改正が行われたことで違法コンテンツを増長するようなサイトは明確に違法となったことで、リーチサイトへの取り締まりが強化され実際に逮捕者も出ています。
取り締まりの強化
リーチサイトへの取り締まり強化も含め日本国内での法整備は整いつつあります。
最近では技術の進化に伴い、AIを活用した違法コンテンツの自動検出システムも導入されています。
これにより、違法コンテンツが早期に発見され、法的措置が迅速に取られるようになりました。
また、違法サイトの広告収益を断つために、広告主や広告配信業者への規制(現在はガイドラインの徹底のみ)も行われています。
違法サイトも収入が無ければ運営できませんので、違法サイトへの広告掲載が違法と明示(罰則ありに変更される)されることで、広告収入を元に運営を続ける違法サイトへの打撃となることが期待されています。
過去違法漫画サイト(漫画村)に広告を出稿していた会社は、個別で「著作権侵害の幇助」を行ったとして損害賠償請求をされています。
国際的な協力不足と法の執行の限界
日本国内での法的対策が強化されている一方で、国際的な協力が不十分な点が違法エロサイトの存続を許している大きな要因です。
多くの違法サイトは、海外にサーバーを置くことで日本国内の法の適用範囲外に逃れています。
海外にサーバーが設置されている場合、その国の法執行機関と連携する必要があり、手続きが複雑かつ時間がかかるため、違法サイトの迅速な摘発が難しくなっています。
また、一部の国(日本向けサイトはほとんど中国)では著作権侵害に対する法規制が緩く、違法サイトの運営者が罰を受けることなく活動を続けることができるケースもあります。
このように、国境を越えた違法コンテンツの取り締まりには、国際的な法制度や協力体制の整備が不可欠ですが、現状では十分に機能していないのが実情です。
日本側でプロバイダーでサイトを非表示にしても、次々新しいドメイン名で簡単に再開されることが多いため「いたちごっこ」の様相と呈しています。
このような状況は、日本単体での法的対策の限界を露呈しており、持続的な効果を得るためにはさらなる技術的対策や国際的な取り組みが求められています。
違法エロサイトによってAV業界は衰退している
いかかだったでしょうか。
ここまで違法エロサイトがなくならない理由と日本での法的対策とその限界について説明しましたが、もはや違法サイトは日本単体で根絶できるものではなく、国際的な枠組みで解決する問題となっています。
違法エロサイトは、利用するユーザーにとっては無料で簡単に最新のコンテンツが楽しめる優良サイトに見えるかもしれません。
しかし、それを利用することで多くの不利益を被るAVメーカー、販売者、サイト運営者がいる事実を再認識してほしいと思い、この記事を作成しました。
いちエロサイト運営者としては、正規事業者が違法事業者によって不利益を被りすぎている現状は、AV業界を衰退させていく一方なので一般、エロ問わず至急なんとかしてほしいと願っています。
このまま違法エロサイトを野放しにしている状態では、AV産業は日本から無くなってしまいます。
この記事をご覧の方も違法エロサイトは見ないようお願い申し上げます。