知らなかったでは済まされない法律
アダルトサイトを運営する上で気にしておくべき法律についての疑問を簡単に説明します。
簡単に儲かるからといって安易に法律違反を犯して逮捕されたら元も子もありません。
法律違反を犯してしまった場合も知らなかったでは済まされませんので、最低限の正しい知識を持った上で運営を行うようにしましょう。
アダルトサイト運営における法律
年齢制限って必要?
結論からいうと個人で運用しているページならば不要です。
アダルト動画/画像を有料で配信、営業してる(営利目的で営業している)サイトは、地方自治体で定められている青少年保護育成条例に基づいて18歳未満のアクセスを制限する条例が適用されますので必要となります。
アダルトサイト運営に警察への届出は必要?
営利目的の有料アダルトサイト(会員から料金を取り、動画等を配信するようなサイト)の運営は、「性風俗特殊営業」における「映像送信型性風俗特殊営業」にあたり、お住まいの都道府県警察署に届出書を提出する必要があります。
そのため、無料で画像・動画を公開し、広告バナー等で紹介して収入を得る場合は、警察署に届け出をする必要はありません。
児童ポルノは絶対にダメ
ロリータ・ペドフィリアと呼ばれ、マニアに絶大な人気を誇るジャンルです。
しかし、児童ポルノコンテンツについては、国内ではなく海外の法律でも厳しく取り締まられています。
18歳未満の児童にわいせつ行為を禁止する法律「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」にあたります。
公開は勿論のこと所持でも違法ですので触らないようにしましょう。
無修正動画・画像は扱わない
国内で無修正の陰部が写った裸体を公開した場合は違法です。実際にSNSで画像を公開して逮捕された例もあります。
それが自分であげたものではなく他人がアップロードしたもの、海外のものであろうが全て国内で公開することは違法です。
基本的に無修正の動画・画像には触れないようにするのが安心です。
海外サーバーなら無修正も大丈夫?
日本人が海外サーバーを借りて国内向けに無修正動画・画像を公開するのも違法です。
海外で無修正動画を配信しているサイトもありますが、あれは外国法人で運営も海外で行っているため日本の警察は手を出せずグレーゾーンで運営されています。
実際に大手無修正アダルトサイト「カリビアンコム」では、わいせつ動画を配信していた被疑者らが警視庁によって逮捕されました。
被疑者らは、日本人の女優を使って制作したわいせつ動画を、台湾にある別会社を経由して、アメリカにあるとみられている「カリビアンコム」の運営会社に納品し、アメリカにあるサーバーから配信していたようです。
海外サーバーで海外運営なのになぜ?
と思った方もいるかと思います。
これは平成23年に刑法175条が改正され、従来の「アップロード」してないから大丈夫という聖域が壊れ「わいせつ物陳列」ではなく「頒布」部分の刑法が適用されたからです。
従来通りならば、国内からアップロードしていなければ国内の法律では手が出せなかったのですが、改正されたことにより、犯罪の一部が国内で実施され、最終的に国内で確認できれば刑法が適用できると最高裁が判断したものです。
このケースでは撮影が国内で行われてそこからメールにより海外に動画が送信された後、海外サーバーにアップロードされたのですが、最終的に日本にいる顧客のパソコンにわいせつ動画が保管されていたので、「頒布」という犯罪行為がの一部が日本で発生したことにより違法とされました。
長々と書きましたが、無修正ものは触れないでおきましょう。
投稿サイトでの著作権違反
他人が作成した動画・画像を勝手にアップロードすることは違法です。
それが海外サーバーであろうと国内の法律が適用されます。
著名人に対する名誉棄損
アイコラ等で著名人の顔を使ったアダルトコンテンツを作成・公開することは「名誉棄損」に当たります。
AIによる動画の加工「ディープフェイク」を使用し、既存のアダルトビデオにアイドルの顔を巧妙に埋め込んで公開した罪により「名誉棄損」「著作権違反」により逮捕者も出ています。
「ディープフェイク」に特化した上位4つのポルノサイトでは、数百人の女性有名人のフェイク動画が、計1億3400万回以上も再生されており、世界中で問題視されています。
著作権違反動画のリンクについて
海外サイト等を見ると国内のアダルトビデオがそのままアップロードされているケースを目にしたことがある方もいると思います。
ここで著作権違反動画のリンクは違法なのかどうかについてですが、
「原則的に知らずにリンクを貼っただけでは著作権違反には当たらない」です。
しかし、リンク先が著作権違法動画と知っており、なおかつ著作権者から削除依頼が来てそれを無視し続け、著作権違反の幇助を続けるような事態があれば違法となる可能性もあります。
ワンクリック等の詐欺広告掲載
アダルトサイト運営を続けてサイトのアクセスが増えてくるとワンクリック詐欺広告の掲載依頼が代理店から直接くることがあります。
ワンクリック詐欺とは、ユーザーが特定のページを閲覧しただけで、契約成立と見せかけて金銭をだまし取る詐欺行為です。
具体的には
等の基本的には金銭を要求するものです。
ワンクリック広告のような悪質な広告を掲載することは、明確な「詐欺」行為に加担していますのでやめましょう。
AV新法って関係ある?
結論からいうとアダルトサイトには関係ありません。
AV新法とは
「AV出演被害防止・救済法」、通称「AV新法」はAV(アダルトビデオ)出演者の保護を目的とした法律で2022年6月に施行されました。
「AV新法」には契約書規定、撮影・公開期日指定等の厳格な規定が盛り込まれました。
その内容は下記の通りです。
法律の内容をさらに詳しくしりたい方は、男女共同参画局のHPをご覧ください。
2022年4月1日より成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、今まで未成年だった18歳~19歳へのAV出演に関する被害が拡大することを懸念して「AV新法」はスピード施行されました。
僅か3ヶ月程度の密室での検討と、衆議院参議院でたった1日の会議で作成された代物で、しかも現在のAV業界の現場からヒアリングもしないで作られました。
その内容については業界からいくつか批判の声も上がっています。
AV出演者の新規参入の阻害
「AV新法」により公表から1年間は性別・年齢に関わらず無条件に契約を解除できるようになりました。
出演契約の解除・公表中止等に発展した場合に、AV制作側はかかったコストがすべて無駄になり、大きな損失を被ることになります。
AV制作側はもちろんそんな損失はご免ですので、十分に実績があって「契約解除をしない演者」しかキャスティングしないようになります。
それに伴って、新規参入したい出演者の参入を阻害する事態が発生することは容易に想像できます。
法令順守のAV制作企業の経営圧迫
「AV新法」は上記の通り、契約解除期間がかなり長めに設定されているので、AV制作企業はその期間分のある意味新しい負債を負いながら事業を行うことになります。
AV制作企業は通例として「銀行の融資が受けられない」ため、リスクマネージメントとして事業を縮小することを余儀なくされます。
そうなると法律を無視した同人AV制作といわれる「一般人によるAV撮影」が蔓延ってしまう恐れがあり、女性を食い物にする輩が増加する恐れがあります。
流行りのネタを取り入れられない
AV撮影期間が契約から1ヶ月、撮影から4カ月、撮影期間を考えると公開まで最低半年以上はかかることになります。
スピード感は確実に損なわれ、また季節・流行ネタ等のAV作成本数が減少し、バリエーションが減少することが考えられます。
契約締結から1ヶ月は代理キャスティング禁止
契約締結から1ヶ月は撮影できないので、体調不良・その他事情があっても契約していない人以外は出演することができなくなりました。
一旦契約書にサインしたら、「撮影日まで何があっても参加しないといけなくなるのも現場を苦しめている」と現役セクシー女優の「一条みお」さんが以下のようにツイートしています。
AV新法のおかげで『差し替え』が出来なくなっちゃった😇
撮影契約から1ヶ月以内の間
どんなに熱を出しても
どんなに体調不良でも、身内に不幸があっても
代わってくれる女優さん男優さんを用意してはいけない
違法になるらしい
一般的労働条件では、お仕事って休む時誰かが代わってくれたりするのにね
※現在ツイートは削除されています。
これは一般労働環境にも当てはめてもおかしな話であり、改憲についても議論されるべきです。
アダルトサイト作成には関係ないお話ですが、業界に関わりのある法律なので紹介させて頂きました。